内部監査が企業ブランドの向上につながる!?

これまで扱ってきた内容は、「不正」を筆頭にネガティブなものばかりでしたので、今回はポジティブな内容を取り扱ってみたいと思います。

いろいろと調べてみたところ、内部監査を企業ブランドの向上につなげようと取り組んでいる企業がありました。以下プレスリリースをご紹介いたします。

プレスリリースによると、2012年1月より「内部監査体制」と「自主点検制度」を導入します。内部監査の結果によっては、フランチャイズの解除や事業所閉鎖といった『厳罰』を盛り込んでいるようです。

さて、どのような背景から内部監査体制の構築・強化に至ったのでしょうか?
公開情報に基づき、以下まとめてみたいと思います。 

1.背景は?

同社は、「宿泊+デイサービス」(以下:宿泊付デイ)事業を2005年より開始しました。それ以降、特に夜間の休息を求める家族介護者より大きな支持を受け、急成長してきたようです。

しかしながら、この「宿泊付デイ」に逆風が吹き始めます。
一部の心無い業者が提供する劣悪なサービスにより、業界全体のイメージを悪化させてしまうことになりました。

「介護保険法」という法律の適用範囲ですが、

◇デイサービス ⇒ 適用
◇宿泊     ⇒ 対象外

となっているようです。

ご覧の通り「宿泊」は法の制約を受けないため、「男女の別なく雑魚寝」といった常識の範疇では考えられないようなサービスを提供する業者もあったようです。 

2. 悪評を払しょくするためには?

2011年3月に東京都が「宿泊付デイ」の運営基準を策定しました。
そして5月には同社も東京都と同レベルの「自主ルール基準」を策定し、全国の事業所に一斉適用しました。

2ヶ月に1回、全国各地のフランチャイズ加盟店オーナーを対象に研修を開催し、サービスに対する意識レベルの向上を図るという地道な取り組みを行っていたようです。

結果として、オーナー全体の意識に変化があらわれたようですが、今度は、「個人差をどうするか?」という課題に直面します。

自主ルール基準の順守だけでは限界という判断から、今回の内部監査体制の構築に至ります。

3. 2012年1月よりどうなるのか?

簡単にまとめると、以下のような手順になるようです。

◇新規事業所が開設時に提出する書類に虚偽・隠ぺいが無いかチェック
◇既存事業所に対し、自己点検に基づいた質のチェック
      ↓
      ↓(いずれも問題あれば)
      ↓
◇改善勧告、場合によっては、実地監査を行う
      ↓
      ↓(改善命令を出しても見込みが無ければ)
      ↓
◇最終勧告を行い、フランチャイズ契約を解除

フランチャイズという業態は「加盟店の増加」が生命線ですが、あえて「解除」を設けることが、同社の企業ブランド向上に対する強い覚悟の表れなのでしょう。

──────────────────────────────

内部監査の定義によると、「組織体の運営に関し価値を付加」という文言が含まれます。

内部監査人も組織の一員である以上、企業価値の向上に努める責務を負う訳ですが、この当たり前の意識が欠如したとき、「形骸化」につながるのでしょう。

今回は、内部監査を通じて企業ブランド向上を目指す事例をご紹介いたしましたが、ぜひ応援したくなります。今後も同じような事例が増えていくと良いですね。

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