杜の都で、常勤監査役が大暴走!?

去る2011年12月9日、日本監査役協会は、一連の不祥事に対し、監査役に一層の監査充実を求める提言をリリースしました。

★「監査役が本来期待される職務を果たしていなかったことは明らか」
★「監査役がそれだけの(時に経営者と対峙する)覚悟を持って職務に当たっていたかについては疑問を感じざるを得ません」

と苦言を呈していることから、まさに異例とも言える状況なのでしょう。

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さて、今回は「監査役」に焦点を当てるべく、仙台にある上場企業(現在:監理銘柄)を題材にしたいと思います。

同社は、東日本大震災の発生にも関わらず、その3日後の3月14日に決算短信を予定通りにリリースしていました。
(あの大混乱の最中、頭が下がります)

しかし、その決算短信には不適切な会計処理が含まれていることが後日明らかになります。その後の調査によると、社長の他、取締役・常勤監査役が共謀していたことも明らかになります。

いったい同社では何があったのでしょうか?
これより一緒にひも解いてみたいと思います。
※当メールの内容はインターネット等に公開されている情報に基づき、担当者の私見をまとめたものです。会社全体の意見ではございません。 

1.概要について

同社は、仙台を中心に携帯電話の販売、テレマーケティング、不動産など多岐にわたり事業を展開しています。

同社の社長は、創業者であるが故、事業拡大に対する意欲が極めて強い人物と評されていますが、一方で法令遵守の意識に欠ける一面も兼ね備えていたようです。

また、個人企業から出発したこともあり、個人資産と会社資産を分けて考える意識も欠けていたようです。(上場後であっても変わらなかったようです)
このような背景があり、2004年あたりから

◇売上の過大計上
◇会社資金を社長個人の銀行口座に流出

等の不適切な会計処理を継続して行っていたことが2011年8月に発覚します。 

2.常勤監査役は何をしていたのか?

監督機能を担うべき立場にも関わらず、

◇社長の指示により、不正な入出金を自ら実行していた
◇監査役にも関わらず、経理業務を行っていた
◇「私文書偽造同行使罪」に該当する犯罪行為を行っていた

と報告されています。

常勤監査役ですが、就任前は「取締役管理部長」であり、経理業務の責任者を務めていました。

管理部長時代の知識と経験を悪い方面でフル活用することにより、会社資金の流出を自ら実行していたようです。

「社長の指示」とは言えども、自らの職責をないがしろにし、不正行為に加担するなど言語道断です。 

3.ところで、他の監査役は?

2名の社外監査役(うち、1名は公認会計士)がいたようですが、

◇取締役会にほとんど出席していない(開催通知を受け取っていない)
◇3~4ヶ月に1回開催される監査役会で形式的な説明を受ける程度
◇年1回、決算時期に会計監査人から概要の説明を受ける程度

と報告されています。
残念ながら、監査機能を期待できるような状況とは言い難いですね。 

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日本監査役協会のホームページに掲載されている行動指針の1つに、

「誠実さを旨とし、判断の根拠を広く社会に求めるとともに、現場に立脚した正しい情報に基づき、公正と信義を重んじた日々の監査役活動を遂行します。」

とあります。
「誠実さ」が欠如すると、今回のような事例に発展するのでしょう。
この考え方は、監査役監査に留まらず、内部監査においても同じことが言えます。

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