内部監査を通じて「棚卸資産を過大計上」を発見

2011年末の出来事になりますが、内部監査を通じて「棚卸資産を過大計上」を発見した企業についてご紹介させていただきます。

今回の事例ですが、従業員による意図的な不正ではありません。
原因を大まかにまとめると「会計処理」「流通システム」にあるようです。

これより具体的に見ていきたいと思います。 

原因1:「簿価の切下げ」をしていなかった

棚卸資産の収益性が低下した場合に発生する「簿価の切下げ」が適切になされていなかったことが原因の1つに挙げられます。
(ちなみに、数量の差異は無かったそうです)

メガネの場合、「デザイン」「機能性」といった流行性がありますので、仕入~販売のリードタイムが長くなるほど、売りにくくなることが考えられます。

【例】仕入から1年後に20%収益性が低下してしまったと仮定

◇適切な会計処理
 入庫時点 ¥10,000 ⇒ 1年後 ¥8,000に評価下げ

◇今回のケース
 入庫時点 ¥10,000 ⇒ 1年後 ¥10,000のまま計上

原因2: 「流通システム」が現状にマッチしていなかった

2002年に開発された流通システムを長年運用してきたことも、過大計上の原因として挙げています。

先ずは「開発当時」と「現在」の物流についてまとめてみたいと思います。

【開発当時】
「物流センター」 ⇒ 「各店舗」(完売)

【現在】
「物流センター」 ⇒ 「A店舗」 ⇒ 「B店舗」

現在においては、1つの店舗で完売することが難しいため、在庫を移動させながら複数の店舗で販売することが一般的のようです。

しかしながら、システム開発当時は「各店舗で完売」が大前提のため、在庫の移動を全く考慮していませんでした。

その結果、滞留商品であっても、簿価の切下げがされず、

★「B店舗」納入時の在庫評価額 =「物流センター」納入時の在庫評価額 ★

と記録されていることが明らかになったようです。

──────────────────────────────

同社のプレスリリースの一節に

「同システム(今回の問題のあったシステム)を長年運用しておりましたので、同システムの運用により生じるリスクを考慮しておりませんでした。」

とあります。この手の話は別にシステムのみならず、企業・部署を問わず、あらゆる業務においても存在すると思います。

もし皆様が同社に在籍していたならば、どのような再発防止策を掲げるのでしょうか?
その答えの糸口はCIAコースのカリキュラムに包含されています。

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