キャッシュフロー計算書から、企業の栄枯盛衰を辿る

3月期決算企業の最終決算ですが、連休明け以降相次いで発表されました。
5月11日(金)にピークを迎え、ようやく出揃った感があります。

今回は不正ネタをお休みにして、会計について扱っていきたいと思います。
財務諸表の1つである「キャッシュフロー計算書」にフォーカスしてみましょう! 

キャッシュフロー計算書について、簡単に説明します

例えば、貸借対照表(B/S)の「現金」ですが、

●2011年度末の現金 ⇒ 100百万円
●2012年度末の現金 ⇒ 150百万円

1年間で現金がプラス50百万円になったと仮定します。
この「増減」はどうして起こったのかをひも解いていくのがキャッシュフロー計算書です。

現金の増減に関して、以下の3項目に分類されます。

================================================

【1】営業活動によるキャッシュ・フロー(以下:営業CF)
【2】投資活動によるキャッシュ・フロー(以下:投資CF)
【3】財務活動によるキャッシュ・フロー(以下:財務CF)

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続きまして、各項目のプラス・マイナス要素をご紹介します。

【1】営業CFについて
増減の要素が多岐にわたりますので単純化します。
・プラス   本業が儲かっている
・マイナス   本業が芳しくない

と今回は捉えてください。

【2】投資CFについて
・プラス   保有する固定資産(建物など)、有価証券を売却する
・マイナス   上記を新たに購入する

【3】財務CFについて
・プラス   銀行から借金する、社債や株式を発行する
・マイナス   元本を返済する、株主に配当金を払う

この点を踏まえまして、上場企業が公開しているキャッシュフロー計算書をこれから一緒に見ていきたいと思います。

※以下の内容は、インターネット上の公開情報に基づき、担当者の私見をまとめたものです。
当然ながら、事実と異なる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
 

実際の数字を3期分見てみましょう

【5期前】
営業CF    1,606百万円
投資CF    ▲559百万円
財務CF    ▲331百万円
————————————
増加額     716百万円

本業で稼いだキャッシュを事業投資および借金返済・株主配当に充てています。
まさにキャッシュフロー計算書の「理想形」とも言えるような状態です。

【前々期】
営業CF     758百万円
投資CF    ▲914百万円
財務CF    1,822百万円
————————————
増加額    1,666百万円

本業の稼ぎに陰りが出ています。(5年前の勢いはありません)
この期の活動を見てみると、自社ビル(固定資産)を取得したようなので、投資CFのマイナスが大きくなっています。

ご覧の通り、営業CFだけでは賄うことができないため、銀行より借入(財務CFの増加)することで穴埋めしています。

【前期】
営業CF    ▲59百万円
投資CF    ▲575百万円
財務CF    ▲685百万円
————————————
増加額   ▲1,319百万円

ついに本業で稼げない状況に陥ってしまいました。この状況が長らく続くと、会社が傾いてしまうことは、感覚的にご理解いただけるのではないでしょうか。

尚、前期中に株主への配当の取りやめ(無配)を発表していますが、これは財務CFのマイナス分を減らす効果があります。
(株主にとっては悲しいですね) 

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以上3期について見てきましたが、このように複数期のトレンドを追ってみると、その企業が置かれている状況が何となく掴めてきます。

もし「自社」「取引先」「ライバル企業」が上場企業でしたら、インターネット上で簡単に閲覧できますので、トレンドを追ってみてはいかがでしょうか?

実際のキャッシュフロー計算書を見てみると、

●現金および同等物の「同等物」って何?
●配当金の支払いは「財務CF」だけど、受け取った場合は?
●「直接法」「間接法」があるみたいだけど、「間接法」ばかりなのは何故?

等、いろいろな疑問が生じると思います。
これらの答えはCIA/公認内部監査人コース Part3で全て明らかになります。

講義の中で答えを一緒に探してみませんか?

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