監査基準が変わる!~不正会計防止に向けて~

今回は、去る5月24日の日経新聞(朝刊)に掲載されていた記事を1つご紹介したいと思います。

金融庁は、公認会計士が監査する際の手続きなどを定めた「監査基準」の見直しに着手するようです。

来る5月30日より、企業会計審議会(監査部会)で議論を開始し、2013年度から新監査基準の適用を目指していくようです。
お忙しい方のために、簡単に要点をまとめてみたいと思います。

監査基準 見直しの背景は、やはり…

2011年は大手企業を筆頭に、不正会計が相次いだ年でした。
以前調べたところ、過去5年間で最多の32社と不名誉な記録を残しています。

そもそも監査人の職務は、「不正行為の発見」が目的ではありません。
(もちろん発見した場合は、企業に是正を求めていきますが)

企業の不正行為やその疑いを発見しても、会計士が取るべき明確な行動指針が無かったことがどうやら背景にあるようです。

監査基準 見直しのポイント

日経新聞の記事をまとめると、

1、会計士が交代する際の引き継ぎ内容の明確化
2、不正会計リスクの高いとされる要因の整理および手続きの明確化
3、不正を把握するための体制整備(監査法人内)

の3点になります。

2の「不正会計リスクの高いとされる要因」にフォーカスすると、

●海外に特別目的会社(SPC)を多数保有
●オーナー支配が極端に強く、ガバナンス不全

が挙げられています。

前者は「オリンパス」、後者は「大王製紙」で報じられていた内容ですが、そのまま「高リスクの要因」として採用されることになりそうです。

一方で、デメリットは?

何と言っても「監査報酬の増大」(利益の減額)ではないでしょうか?

今回の監査基準変更により、不正発見のために監査手続きを増やすことになると、当然ながら監査に要する時間や人数も比例して増えることになります。

ご参考まで、日本公認会計士協会がまとめた2010年4月~2011年3月の平均監査報酬ですが、

●全3,281社           47,854千円
●うち、売上高1兆円以上 232,945千円
●うち、金融保険業      95,997千円

となっています。

監査基準の見直しにより、監査報酬にどれぐらい影響が生じるのでしょう?

いずれにせよ、「コスト増」は企業側にとって決して鵜呑みにできる話ではないはずなので、どう理解を得ていくかがカギになってくるのかもしれません。

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