執行役員が不正行為~1億7,000万円の着服

約2ヶ月前のことですが、執行役員が不正行為に関与した事件がありましたので、ご紹介させていただきます。 

去る2012年7月4日、セキュリティ製品の開発・販売を行う『ソリトンシステムズ』にて1億7,000万円の着服が発覚した旨のプレスリリースを行いました。

◆概要について

元執行役員(経営管理部長)が、約1か月半(5/15~6/28)という短期間のうちに10回に分けて、合計1億7,000万円分の小切手を現金化・着服しました。その内訳は以下の通りです。

●A銀行 1億5,000万円(第1~8回目、第10回目)
●B銀行   2,000万円(第9回目のみ)

そして11回目の現金化(4,000万円)をB銀行にて試みた6月29日のこと、同行担当者は、第9回目の現金化(2,000万円)から日が浅いため、資金の使途について質問したところ、元執行役員は、

「社長の個人的な用途に使われる」

と回答したそうです。

この内容に不審に感じたB銀行担当者は、直接ソリトンシステムズに電話し、社長の了承の有無の確認を行いました。

当然、社長はこのような現金化を了承している訳はありません。
その後、社長が元執行役員に問い詰めたところ、現金着服を認め、今回の事態が明るみになりました。

◆『執行役員 経営管理部長』の立場にありながら…

今回の現金着服は、『職権濫用』の賜物と言っても良いでしょう。
具体的には、以下の通りです。

●小切手の作成・発行の権限を有していた
●小切手帳・銀行届出印の管理責任者であった

ここでは業務フローの詳細は割愛いたしますが、結果的には単独で小切手を発行できる状況にありました。

いわゆる「職務分離」が欠如していましたので、今後社内体制を改善するにあたり、この点ははずせないでしょう。

◆ところで、出金後の対応は?

第1回目の出金(1,000万円)を行った翌日、部下より使途不明金があるとの報告を受けます。

これに対し、元執行役員は、

●社長の指示で一時的な立替のために小切手を切った
●今後も同様のケースがあると思う
●すぐに返済されるだろうから、記帳は不要

と返答したそうです。

部下はこの返答に安心したのか、元執行役員の指示に従いました。
その後繰り返し行われた出金に対しても、気に留めることはなかったようです。

──────────────────────────────
着服した1億7,000万円ですが、『遊興費』に充てられたようです。全て使い果たしてしまったことから、回収の目途は立っていません。

今回の事件を見ていると、複雑な隠ぺい工作を行っている訳ではなく、「そのうち発覚するのでは?」という印象を受けました。

いったい、何が目的、何が不満で着服を繰り返したのかは、公開情報だけでは判別できません。

いずれにせよ、『執行役員 経営本部長』という役職者であれば、本来はこのような不正が起こらないよう監督責任があるはずです。

自らが不正行為を行うなど言語道断です。

バックナンバー

Vol.55
試験制度改定前のラストチャンス!
Vol.54
常態化した不適切な会計処理
Vol.53
粉飾すれば、給料・賞与が増える?
Vol.52
絶対的権力者の暴走から「内部統制の限界」を考える
Vol.42
金融庁の「不正リスク対応基準」を読む
Vol.41
桜の便り&連結子会社における不正会計
Vol.40
数値目標のため。食品スーパーの不正会計
Vol.39
CIAで学ぶ「リースバック」とは
Vol.38
宮城県 山元町社協で起きた着服
Vol.37
2013年、MBOの実施動向は?
Vol.36
北海道シリーズ『着服事件』
Vol.35
北海道内の大学で発生した『不適切な経理処理』
Vol.34
『虚栄心』が招いた不正会計
Vol.33
レンタル企業ならぬ「CCC」とは?
Vol.32
ギャンブル流用も?!子会社トップによる不正会計
Vol.31
今年は多い?!海外子会社での不正会計
Vol.30
「定率法」→「定額法」への変更の背景とは?
Vol.29
目立つ企業の横領と“4.5億円”
Vol.28
退職金・企業年金の会計ルール
Vol.27
海外子会社で発覚した不正会計
Vol.26
執行役員が不正行為~1億7,000万円の着服
Vol.25
もしも大切なデータが消えてしまったら?
Vol.24
内部監査人は増えているのか?減っているのか?
Vol.23
危険な会社は41社!ゴーイングコンサーンについて
Vol.22
内部監査研修の充実化に向けて
Vol.21
監査基準が変わる!~不正会計防止に向けて~
Vol.20
キャッシュフロー計算書から、企業の栄枯盛衰を辿る
Vol.19
2011年度に不正会計を開示した上場企業数は?
Vol.18
コンプライアンス違反で倒産!?
Vol.17
『続』ここ最近の「横領事件」を探る
Vol.16
意外にも多い!? ここ最近の「横領事件」を探る
Vol.15
「定率法」から「定額法」へ、帝人の例
Vol.14
不正が発覚した企業のその後を追う
Vol.13
内部監査を通じて「棚卸資産を過大計上」を発見
Vol.12
2012年、内部統制の枠組みが変わる!?
Vol.11
2011年のMBO実施企業数、ついに20社の大台に!
Vol.10
杜の都で、常勤監査役が大暴走!?
Vol.09
内部監査が企業ブランドの向上につながる!?
Vol.08
「継続企業の前提」について
Vol.07
止まらぬJA香川県の現金着服
Vol.06
社債発行による資金調達
Vol.05
コーポレートガバナンスが問題なのか?
Vol.04
「元役員による会社資金の横領」から内部監査を考える
Vol.03
会計の概念で見る「すき家」の事例
Vol.02
2011年、MBO活況の裏側で「上場廃止」について
Vol.01
「社長の独断専行」から内部監査を考える
CIA無料説明会を予約する  CIA資料を取寄せる(無料)