退職金・企業年金の会計ルール

ここ最近、「退職金・企業年金の積み立て不足」に関する記事が新聞・雑誌で取り扱われているような気がします。

先日発売された「週刊ダイヤモンド」を購読してみたところ、「新・退職給付会計で落ちる会社」と題して、2ページ割かれていました。

2014年3月期より、退職金・企業年金の会計ルールが変更されるようですが、「爆弾」と表現されるほど大きなインパクトが見込まれています。

いったい、どんなインパクトがあるのでしょうか?
退職金・企業年金の会計ルール変更について見ていきましょう━━ 

まず、現在のルールを確認しましょう

退職金・企業年金の会計ルールですが、財務会計の中でも非常に難しいテーマの1つになりますので、極力単純化します。

初めに、用語の整理から行います。

●退職給付債務 ⇒ 将来の退職金・年金の支払いに必要な金額

○年金資産   ⇒ 将来の支払いに対する備え(積み立て)

通常、

退職給付債務 > 年金資産

という企業が多いため、その場合は不足分を企業が補わなくてはなりません。

この不足分の一部は「退職給付引当金」として貸借対照表(以下:B/S)に計上されていますが、残りは『簿外負債』として現状は「注記」の記載に留まっています。

つまり、ぱっと見ただけでは全くわからない『簿外負債』ですが、新会計ルールでは・・・

巨額の負債が、裸にされる

2014年3月期より適用される新会計ルールをまとめると以下の通りです。

●簿外負債をB/Sに計上する
●その分、純資産を減らす

結果として、「自己資本比率」が減少するため、財務状況の悪化が避けられません。

【例】
負債…500億円、純資産…300億円、簿外負債…100億円と仮定して、
自己資本比率≪純資産÷(負債+純資産)≫を計算すると、

●従来の会計ルール
  300億円÷(500億円+300億円)= 37.5%

○新会計ルール
  (300億円-100億円)÷(500億円+300億円)= 25.0%

先述の週刊ダイヤモンド調べによると、「近畿日本ツーリスト」の場合、

簿外負債(31億円)> 純資産(29億円)

と唯一、簿外負債が純資産を上回っているようです。
つまり、新ルール適用は「債務超過」への転落を意味します。

しかし同社は、「クラブツーリズム」との経営統合を予定しており、簿外負債の31億円を吸収できる見込みなので、危機的状況は免れることができる見通しが立っているとのことです。

──────────────────────────────

今回の調査によると、簿外負債が1,000億円を超える企業が、8社あるようです。中には、経営危機に直面するシャープ・NECが含まれます。

一般的に、負債は「過小計上」のインセンティブが働きます。
それが、自己資本比率を著しく下げるのであれば、尚更でしょう。

監査のポイントから見ても、「変化が大きい」 ⇒ 「リスクが高い」と考えられるので、避けては通れないところでしょう。

☆そもそも、退職金・企業年金の会計ルールを全く知らない
☆「勤務費用」「過去勤務費用」など聞いたことがあるけど、何だろう?
☆割引率という言葉があるが、何を割引くの?

その答えは、CIAコースのカリキュラムで明らかになります。
講義の中で答えを一緒に探してみませんか?

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