目立つ企業の横領と“4.5億円”

この一ヶ月、『横領』に関するニュースが目立ちましたので、ご紹介させていただきます。

●イオン保険サービス → 横領した元社員が逮捕(4.5億円)
●神姫バス子会社 → 元役員による横領が発覚(2.5~3億円)
●サンスター文具 → 元出向社員による横領が発覚(3.9億)

1つ目の「イオン保険サービス」について、詳しく見ていきましょう。

概要について

10月23日、元経理課長は業務上横領容疑で逮捕されました。
元経理課長は容疑を認めているとのことです。

事の発端は2009年6月、金融商品投資の損失を穴埋めするために、オンライン取引で自分の銀行口座に100万円を移したことから始まります。

千葉県警の捜査によると、2008年9月~2011年8月の間、39回にわたり計8億円を引き出していたようです。(3.5億円は戻されたようです)

そして発覚を防ぐため、会社名義の銀行口座を勝手に開設し、そこを経由して資金移動を行ったと見られています。

事件発覚後の2011年12月に懲戒解雇、明くる年の1月に告訴していました。

銀行口座の開設について

「発覚を防ぐため、会社名義の銀行口座を勝手に開設し、そこを経由して資金移動を行ったと見られています。」

とありますが、通常会社名義の銀行口座を開設するためには、以下が必要になります。

●登記簿謄本
●認証を受けた会社の定款
●法務局から交付を受けた代表取締役の印鑑証明書
●法務局へ届け出た代表印
●銀行印に使用する印鑑

これらを簡単に持ち出せる状況にあったということを踏まえ、元経理課長の状況を推察すると、

★それなりの権限が委譲されていた
★少人数の部署のため、職務分離が難しかった

以上が私なりに推察した結果です。
(もっと他にもたくさんあると思います。)

ただし公開情報が無いため、真相はわかりません。

ところで、4.5億円とは?

私も実際に手にしたことがないので、イメージが湧かないのですが、近しい金額として、こんなものがあります。

滋賀県彦根市で毎年行われている「ゆるキャラまつり」の経済効果が4.8億円と算出され、過去最高を記録したようです。

のべ88,000人も来場したそうですが、この経済効果にほぼ近い金額をたった一人で消滅させてしまったのが、今回の事件です。

資産家ならまだしも、一般的なサラリーマンの取引額として、「数年間で億単位」というのは常識的に考えておかしいのではないでしょうか?

金融商品の取引を行うためには、証券会社での口座開設が必要な訳ですが、その際「勤務先」「年収」という項目があれば、金額的におかしな取引については制限を設けたりできるのではないか?と思った次第です。

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