「定率法」→「定額法」への変更の背景とは?

今回は、『週刊 経営財務』の記事をご紹介させていただきます。

有形固定資産の減価償却方法ですが、「定率法」→「定額法」に切り替えた企業が急増しているようです。

平成25年3月期の第1四半期に変更した企業数は80社にのぼるとのことです。
24年3月期では50社でしたので、まさに急増と言えそうです。

それでは、変更の背景には何があるのでしょうか?

【理由1】グローバル展開の進展

以下、『日立化成工業』の決算短信に記載されている変更理由です。

当社グループでは、顧客のグローバルな事業展開が急速に進む中、海外市場での需要を取り込むために海外拠点の拡大に積極的に邁進してきたほか、災害発生時の製品の安定供給を目的に、海外拠点の設立や増強を進めてまいりました。

これらの諸施策の取り組みによって建設された設備は、当連結会計年度より順次立ち上り、本格的に稼働してまいります。一方、国内拠点では、高付加価値品向けの事業体制にシフトすることによって生産量が確保され、設備の稼働は安定的に推移していくことになります。

このため、当社および国内連結子会社の有形固定資産の減価償却方法を定額法に変更することが、経営の実態をより適切に反映するとの判断に至りました。

【理由2】 IFRS適用への準備

IFRSに関して直接的ではないものの、『ワコム』の決算短信にはこのような記載があります。

昨今の会計処理の国際的調和とグループの会計方針の統一の観点を総合的に勘案し、減価償却費の期間配分を平準化できる定額法に変更することが、経済実態をより適切に反映できると判断したことによるものであります。

以上2つの理由を見てまいりましたが、少し懐疑的な意見もあるようです。

最後にその記事をご紹介させていただきます。

【本音は?】目先の利益を増やしたいのでは?

計算方法の説明は割愛しますが、初年度の減価償却費(費用)を比較すると、定額法<定率法になります。費用が減れば、その分利益が増えます。

書き方は様々ですが、定額法に変更することによって、どのようなインパクトが生じているのか調べてみました。

●ホンダ      減価償却費が10,139百万円減
●ソニー      減価償却費が2,740百万円減
●アステラス製薬  営業利益・経常利益が1,641百万円増

減価償却費にしかり、棚卸資産の評価方法にしかり、財務会計の一部には、このように変更(操作)の余地が存在します。

最後に、寄稿者の言及を引用すると、会計上のテクニックを労して利益の数字を糊塗するのではなく、利益のあがる事業をつくり出していくことが重要とあります。
至って当然なことですが、改めてその重要性に気付かされたしだいです。

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