ギャンブル流用も?!子会社トップによる不正会計

秋以降、子会社トップによる不正会計が相次いで発生しています。

海外ばかりかと思いますが、残念ながら日本国内でも発生しています。
(内部監査により発覚したそうです)

去る2012年10月2日、兵庫県内にあるバス会社の子会社において子会社元代表による不正行為の発覚に関する記事がリリースされました。

11月13日にリリースされた外部調査委員会の調査報告書によると、3億5,739万5,000円のほとんどをボートレースの舟券購入に使ってしまったという何とも呆れた内容が記載されています。

いったい、子会社元代表は何をしてしまったのでしょうか?

概要について

今回の主人公は、2つの子会社で代表を兼任していました。
その人物像は、『ギャンブル中毒者』のように映ります。

その背景として、平日休日を問わず社有車を使ってボートレースの舟券場外売場に極めて頻繁に出入りしていること。そして賭金も1日で数百万円という異常なほど高額であったと言われています。

また、親戚・知人・同僚などから多額の借金をしていたようなので、「お金にだらしがない」という性格も浮かび上がってきます。

改めて、1日で数百万円という異常な賭金について見てみると、常識的には、会社からの報酬だけで賄うことができません。

そこで、どのような賭金捻出の手法を簡単にまとめると、

●実際の工事代金を水増しする
●2つの子会社間で、架空の工事契約が成立しているように見せかける
●不適切な工事代金の一部を『現金手渡し』で元代表が受け取る

という要領で、合計3億5,739万5,000円を私的流用した訳です。

しかしながら、2012年8月の内部監査で私的流用が発覚します。
元代表はあっけなく悪事を認め、9月14日付で2社の代表を辞任しました。

親会社は、元代表に対してお金の返還を求めていますが、ボートレースの舟券購入でほぼ全てが消えてしまっているので、返済の目途は立っていないようです。

不正発覚が遅れた要因とは?

今回の私的流用の初犯ですが、2009年7月となっています。
約3年間明るみに出なかった訳ですが、その背景について見てみましょう。
(一部、再発防止策も載せています)

【元代表】
●取引先の選定や工事代金の決定は、元代表が独断で行っていた
●元代表の意見や決定に少しでも異を唱えると、厳しく叱責された
●取引先も元代表からの不当な要求に対し、拒絶できなかった

【内部公益通報制度】
●制度自体は存在するものの、各子会社の総務部が窓口になっていることから実質的には機能していなかった
  →内部通報の窓口を親会社に一本化、また外部通報窓口を新設

【2つの子会社代表を兼任】
●2社の取締役会における利益相反取引の決議が形骸化
●2社間の工事契約に関する判断は、元代表一人によって行われた
  (発注者および受注者の意思決定が同一人物により行われていた)
  →子会社代表の兼任は原則禁止

バス会社グループにおけるガバナンス強化について

今回の事例を端的にまとめると、「元代表が暴走できる環境」が整っていたということでしょう。

調査報告書の中では、以下のように提言されてます。

●子会社監査役が子会社における意思決定の適正性を監視
●子会社の事業計画・設備投資計画の妥当性や実現可能性を親会社が検証できる体制づくり

【具体的には】
○親会社による、子会社への会計・経理業務支援範囲の拡大
○親会社の企画部門において、子会社の事業計画等の事前審査、進捗状況の検証、事業計画遂行のための指導を実施
○子会社への統制を強化し、監査役監査でモニタリング

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最後に、ちょうど1年前はオリンパス・大王製紙の事件で揺れていました。
その関係もあり、『内部監査の強化』が経営課題の1つとして浮上した会社が増えたのではないでしょうか。

一方で、不正会計が「少なくなった」という印象はありません。

具体的な開示件数を調べていませんが、今年一年を振り返ると、メールマガジンのネタに困ることはありませんでしたので、件数が極端に減った訳では無いと思います。

来年も不正会計の事例があれば、積極的に取り扱っていきますが、「ネタが無い!」という状況に直面することができれば、望外の喜びです。

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