レンタル企業ならぬ「CCC」とは?

12月5日の日経新聞(朝刊)にこのような記事がありました。

CCC(シーシーシー)という単語が出てきますが、これはDVDレンタル業者の略称ではありません。

実はCIA Part3の試験範囲にも含まれている、CCC。
以下、CCC(シーシーシー)について見ていきましょう。

CCCとは?

『キャッシュ・コンバージョン・サイクル』の略称です。

企業が商品仕入れの代金を支払ってから、売掛金を回収するまでどれぐらいの期間を要するのかという『効率性』を示す経営指標です。

数式で表すと、

『売掛金の回転日数+在庫の回転日数-買掛金の回転日数』

となり、日数が短い方が「効率的」と見なされます。
もう少し掘り下げていくと、

●日数が短い
   ↓
●現金を生み出す力が強い
   ↓
●フリーキャッシュフローが潤沢になる
   ↓
●販促・研究開発に投入できる資金が増える

ということから企業の競争力に直結するとも言えます。

CCCが重視される背景には、ビジネス環境の変化が速いため、現金を効率的に使って経営する必要性が高まっていることが挙げられます。

最近では、日本電産が採用したほか、スミダコーポレーションそしてJVCケンウッドも同指標の改善を目指し始めたようです。

時代によって、様々な経営指標が用いられますが、次にその移り変わりを見ていきましょう。

経営指標の移り変わりとは? ~時代背景と振り返る~

●売上高営業利益率(1990年代前半~)
  【時代背景】バブル崩壊
  →財テクから本業の収益力向上にフォーカスされる

●ROE(1990年代半ば~)
  【時代背景】阪神大震災、超円高(79円75銭)
  →外国人株主の増加に伴い、低い資本効率に厳しい目が向けられる

●EVA(1990年代後半~)
  【時代背景】山一證券の自主廃業、拓銀の倒産
  →高い株主資本コストに対応できる収益力が課題となる

●ROIC(2000年代前半~)
  【時代背景】ITバブル崩壊
  →経営効率の重視が広がり、投資の実効性を検証

○CCC(2010年前後~)
  【時代背景】リーマンショック
  →現金の効率的活用に対する問題意識が高まる

CCCがマイナス!?

CCCの数値は、「プラス(正の数)」しか存在しないと思っていました。
(受験生時代にCCC関連の問題を解いていたときも、答えは全てプラスでした)

しかし、実際には『マイナス』をたたき出す企業も存在します。
つまり、製品をつくる前からお金が入ってくるということでしょうか。

そんな夢のような話を実現しているのは、皆さまご存じ「アップル(Apple Inc.)」なのです。

同社も元々は、CCCが70日超と一般的な企業と同じくプラスでした。
しかし故スティーブ・ジョブズ氏が経営に返り咲いてからというもの、CCCは改善傾向をたどることになります。

その結果、2000年以降のCCCはマイナスで推移し続けています。
2007年には「マイナス40日」という数値を記録しています。

ここで生み出された豊富な資金が、iPod、iPhoneなどの販促・開発に投入されたことが考えられます。あっと言わせる製品を次々と世に送り出す背景には、あっと言わせるCCCの数値が基礎になったことは間違いないでしょう。

バックナンバー

Vol.55
試験制度改定前のラストチャンス!
Vol.54
常態化した不適切な会計処理
Vol.53
粉飾すれば、給料・賞与が増える?
Vol.52
絶対的権力者の暴走から「内部統制の限界」を考える
Vol.42
金融庁の「不正リスク対応基準」を読む
Vol.41
桜の便り&連結子会社における不正会計
Vol.40
数値目標のため。食品スーパーの不正会計
Vol.39
CIAで学ぶ「リースバック」とは
Vol.38
宮城県 山元町社協で起きた着服
Vol.37
2013年、MBOの実施動向は?
Vol.36
北海道シリーズ『着服事件』
Vol.35
北海道内の大学で発生した『不適切な経理処理』
Vol.34
『虚栄心』が招いた不正会計
Vol.33
レンタル企業ならぬ「CCC」とは?
Vol.32
ギャンブル流用も?!子会社トップによる不正会計
Vol.31
今年は多い?!海外子会社での不正会計
Vol.30
「定率法」→「定額法」への変更の背景とは?
Vol.29
目立つ企業の横領と“4.5億円”
Vol.28
退職金・企業年金の会計ルール
Vol.27
海外子会社で発覚した不正会計
Vol.26
執行役員が不正行為~1億7,000万円の着服
Vol.25
もしも大切なデータが消えてしまったら?
Vol.24
内部監査人は増えているのか?減っているのか?
Vol.23
危険な会社は41社!ゴーイングコンサーンについて
Vol.22
内部監査研修の充実化に向けて
Vol.21
監査基準が変わる!~不正会計防止に向けて~
Vol.20
キャッシュフロー計算書から、企業の栄枯盛衰を辿る
Vol.19
2011年度に不正会計を開示した上場企業数は?
Vol.18
コンプライアンス違反で倒産!?
Vol.17
『続』ここ最近の「横領事件」を探る
Vol.16
意外にも多い!? ここ最近の「横領事件」を探る
Vol.15
「定率法」から「定額法」へ、帝人の例
Vol.14
不正が発覚した企業のその後を追う
Vol.13
内部監査を通じて「棚卸資産を過大計上」を発見
Vol.12
2012年、内部統制の枠組みが変わる!?
Vol.11
2011年のMBO実施企業数、ついに20社の大台に!
Vol.10
杜の都で、常勤監査役が大暴走!?
Vol.09
内部監査が企業ブランドの向上につながる!?
Vol.08
「継続企業の前提」について
Vol.07
止まらぬJA香川県の現金着服
Vol.06
社債発行による資金調達
Vol.05
コーポレートガバナンスが問題なのか?
Vol.04
「元役員による会社資金の横領」から内部監査を考える
Vol.03
会計の概念で見る「すき家」の事例
Vol.02
2011年、MBO活況の裏側で「上場廃止」について
Vol.01
「社長の独断専行」から内部監査を考える
CIA無料説明会を予約する  CIA資料を取寄せる(無料)