宮城県 山元町社協で起きた着服

以前、不正事例で取り扱った「ソリトンシステムズ」の元執行役員ですが、昨日2月7日に業務上横領の疑いで逮捕されました。

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http://mpse.jp/abitus/v.p?022ceLnfqpP

『バカラ賭博』の負け分を取り返すために合計1億7,000万円の着服に至ったそうです。

それにしても日本全国各地、組織体を問わず「着服」は後を絶ちません。

着服はどのケースも決して許されるものではありませんが、特に許し難い事例がありましたので、ご紹介させていただきます。

宮城県の山元町にある社会福祉協議会(以下:社協)において、会計責任者の男性が約2,430万円を着服したことが明らかになりました。

同町は太平洋に面していることから、2年前の震災では津波の被害を受けています。

今回着服したお金の中には、全国からの震災の寄付金も含まれているようです。

◆概要について

山元町社協では、東日本大震災の被災地ということもあり2010・2011年度度の決算処理が大幅に遅れていたようです。

2012年12月より宮城県の指導を受けて資料の分析を進めたところ、多額の使途不明金(約5,420万円)が判明しました。

先述の会計責任者がATMから町社協のキャッシュカードで現金を引き出した記録が見つかり、今回の着服が明るみになりました。

詳細をまとめると、以下の通りです。

●2010年5月~2012年12月
●1回当たり3~33万円を引き出す
●計128回で約2,430万円を着服

着服したお金のうち、1,685万円は震災復興の寄付金で占めています。
日本全国から善意で集められたお金に手を付けるなど断じて許されません。

ちなみに着服した約2,430万円の使途ですが、

「精神的な安定を得るため、すべて祈祷(きとう)代に使った」

とコメントしているようです。果たして本当なのでしょうか?

◆会計責任者の置かれていた状況は?

「着服には全く気付かなかった。人手が足りず、任せきりになってしまった部分もあった」

今回の着服について、元幹部はこのように証言しています。
「任せきり」という状況をわかる範囲内でまとめると以下の通りです。

1.社会福祉法人の経理に精通し、決算作成を一人で全てこなしていた
2.キャッシュカードを自由に出し入れできる立場にあった
3.他の職員が出入金を確認する態勢ではなかった

山元町社協の規模感が掴めないので何とも言えませんが、少人数な組織と仮定すると、『1』および『2』についてはやむを得ないと思います。

その分、『3』が有効でなくてはならないのですが、機能していなかった結果、自由に着服できる環境にあったのでしょう。

『内部統制』という概念が少しでも浸透していれば、手口が単純なだけに、容易に防げたのではないかと思います。

◆開示がたったのこれだけ!?

通常、不祥事が発覚するとホームページにリリースされますが、今回のケースは、たったの5行で終わっています。

民間企業では、発生の経緯・改善案など細かくまとめて報告するのが一般的なので、あまりの少なさに唖然としてしまいました。

今回の山元町社協のような、いわゆる「公共機関」では不祥事が減りません。

良心に任せるには無理がありますので、民間企業レベルの『内部統制』を制度化していかないと減らすことはできないのではないかと思った次第です。

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